太陽光発電の売電と自家消費|どちらがお得か徹底比較

はじめに

太陽光発電を導入したとき、多くの人が最初に気になるのは「発電した電気をどう使うか」という点です。家庭で使い切れない電気は電力会社に売ることができますが、電気料金が高騰している今は「売電よりも自家消費のほうが得なのでは?」という声も増えています。実際、売電単価は年々下がっている一方で、買う電気の料金は上昇傾向にあります。つまり「売るよりも使う」ほうが家計にメリットがあるケースが増えてきたのです。この記事では、売電と自家消費の違いを整理し、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、どちらを選ぶべきかを徹底解説します。

売電と自家消費の基本

売電とは?

太陽光発電でつくった電気のうち、家庭で使わず余った分を電力会社に売る仕組みです。日本では固定価格買取制度(FIT)により、一定期間は国が定めた価格で買い取ってもらえます。現在の家庭用太陽光のFIT価格は10円台前半〜後半(1kWhあたり)となっており、導入初期の高単価(40円以上)と比べると大きく下がっています。

自家消費とは?

自家消費は、発電した電気を自宅で使うことを指します。昼間の電力使用を太陽光でまかなうことで、電力会社から電気を買わずに済み、その分の電気代を節約できます。特に、電気代が1kWhあたり30円〜40円に達している今、自家消費の価値は高まっています。

売電と自家消費の収支シミュレーション

イメージしやすいように、一般家庭のモデルケースで比較してみましょう。

  • 家族構成:4人世帯
  • 太陽光発電容量:5kW
  • 年間発電量:約5,500kWh
  • 電気料金:35円/kWh
  • 売電単価:16円/kWh

売電重視のケース

発電したうち、自宅で使うのは30%、残り70%を売電するとします。

  • 自家消費:1,650kWh × 35円 = 約57,750円の節約
  • 売電:3,850kWh × 16円 = 約61,600円の収入
    合計で約119,350円のメリットとなります。

自家消費重視のケース

発電したうち、自宅で使うのは70%、残り30%を売電するとします。

  • 自家消費:3,850kWh × 35円 = 約134,750円の節約
  • 売電:1,650kWh × 16円 = 約26,400円の収入
    合計で約161,150円のメリットとなります。

同じ発電量でも、自家消費を増やしたほうが約4万円も得になる計算です。

売電のメリット・デメリット

メリット

  • 導入初期はFITで安定した収入を得られる
  • 余った電気を効率よくお金に変えられる
  • モニターなどで「売れている実感」が得られる

デメリット

  • 売電単価が年々下落している
  • FIT終了後は相場価格(数円〜10円程度)での買取となり収益性が低下
  • 発電量に左右されるため、安定収入とは言いづらい

自家消費のメリット・デメリット

メリット

  • 電気料金の削減効果が大きい
  • 電気代の値上げリスクに強い
  • 蓄電池と組み合わせることで夜間も使える
  • 環境負荷を減らし、実生活に直結するメリットがある

デメリット

  • 昼間に家にいないと効果が出にくい
  • 消費電力が少ない家庭では余剰電力が発生しやすい
  • 蓄電池を導入する場合は追加コストが必要

売電から自家消費へのシフトが進む背景

かつては高額な売電収入を得られることから、太陽光発電は「投資商品」として人気でした。しかし現在は以下の理由で自家消費型へのシフトが加速しています。

  • 電気料金の高騰(家庭の負担増大)
  • FIT価格の低下(収益性の縮小)
  • 蓄電池の普及(電気を貯めて使えるようになった)
  • 脱炭素社会への関心(環境貢献を実感できる)

つまり、売電よりも「電気代を減らす」という直接的な効果が重視されるようになっているのです。

自家消費を最大化する方法

1. 蓄電池を導入する

昼間に発電した電気を夜に使うためには蓄電池が有効です。電気代の高い時間帯に合わせて放電できれば、自家消費率は大きく向上します。

2. 家電の稼働時間を調整する

洗濯機や食洗機など電力を多く使う家電は、できるだけ昼間に稼働させることで発電した電気を無駄なく利用できます。

3. 電気自動車(EV)を活用する

EVは大容量の蓄電池を備えており、太陽光で充電することで自家消費率を大幅に上げられます。V2Hシステムを導入すれば、車の電気を家庭でも使うことができます。

売電を有効活用すべきケース

一方で、売電が依然として有利なケースもあります。

  • 平日昼間はほとんど家にいない家庭
  • 蓄電池を導入する予定がない家庭
  • FIT価格が高い時期に契約している家庭(20円以上)

こうした場合は、売電を中心に考えつつ、自家消費も少しずつ取り入れるのが得策です。

まとめ

太陽光発電のメリットを最大化するには、「売電と自家消費のバランス」を見極めることが重要です。現在の電気料金や売電単価を考慮すると、多くの家庭では自家消費を優先したほうが家計にプラスになります。ただし、家庭の生活スタイルや契約中のFIT価格によって最適解は変わります。

これから太陽光発電を導入する方、すでに設置している方も、改めて「自分の家にとってどちらが得か」を考えてみるとよいでしょう。

太陽光導入の流れを徹底解説!契約から設置までのステップ

「太陽光発電を導入したいけど、どんな流れで進むの?」——初めての人にとっては不安が多い太陽光発電。契約から設置までのプロセスを理解しておくことで、トラブルを避け、スムーズに導入できます。本記事では、太陽光導入の流れを初心者にもわかりやすく解説します。

太陽光発電を導入する前に確認すべきこと

契約に進む前に、まずは自分の家やライフスタイルが太陽光発電に向いているかを確認することが大切です。

導入前のチェックポイント

  • 屋根の形状・向き・面積
    南向きの屋根が理想。北向きは発電効率が低下する。
  • 屋根の強度・築年数
    築20年以上の場合は耐久性の点検が必要。
  • 日当たり・周辺環境
    近隣の建物や樹木の影で発電量が変わる。
  • ライフスタイル
    日中の電気使用が多い家庭はメリット大。

こうした条件を踏まえて、導入効果がどのくらい見込めるかを業者に相談します。

太陽光発電導入の全体の流れ

太陽光発電の導入は大きく分けて以下のステップで進みます。

  1. 情報収集・見積もり依頼
  2. 現地調査
  3. プラン提案・契約
  4. 補助金や申請手続き
  5. 設置工事
  6. 電力会社との連系手続き
  7. 運転開始・アフターフォロー

それぞれのステップを詳しく解説します。

ステップ1:情報収集と見積もり依頼

最初に行うのは情報収集です。インターネットで調べたり、知人から話を聞いたり、見積もりサイトを利用するのがおすすめです。

ポイント

  • 複数の業者に一括見積もりを依頼することで、価格や条件の比較ができる
  • 設置費用の相場は1kWあたり25〜35万円前後(2025年時点)
  • 「パネルの発電量」「保証内容」「施工実績」も確認が必要

相場を理解してから業者選びをすると、不要な高額契約を避けやすくなります。

ステップ2:現地調査

見積もりの次は現地調査です。専門スタッフが自宅を訪問し、屋根の形状や日射量を調べます。

調査内容

  • 屋根の面積・材質
  • 屋根の向きと角度
  • 日照条件(影の有無)
  • 配線ルートや設置スペース

現地調査の結果を基に、発電シミュレーションが作成されます。ここで出てくる「年間予測発電量」が導入効果を判断する重要な材料になります。

ステップ3:プラン提案・契約

調査が終わると、業者から具体的なプランが提示されます。

提案内容の例

  • 設置できるパネルの枚数と出力(例:5kWシステム)
  • 予測される年間発電量(例:5,500kWh)
  • 売電収入と電気代削減額のシミュレーション
  • 設置費用と保証内容

十分に比較検討した上で契約します。契約書には「総額費用」「工期」「保証年数」「メンテナンス条件」などが明記されているか確認が必要です。

ステップ4:補助金や申請手続き

太陽光発電は国や自治体の補助金制度を利用できる場合があります。

補助金の一例

  • 国:再エネ推進補助金(数万円〜数十万円)
  • 自治体:市区町村ごとの補助金(上乗せ支援あり)

また、余剰電力を売電するには「電力会社への系統連系申請」や「経産省の設備認定申請」が必要です。これらは通常、施工業者が代行してくれます。

ステップ5:設置工事

申請が通ったら、いよいよ設置工事です。

工事の流れ

  1. 足場設置
  2. 屋根に架台を固定
  3. 太陽光パネルを設置
  4. 配線工事
  5. パワーコンディショナ(電力変換装置)の取り付け

工事は一般的な住宅で2〜3日程度で完了します。屋根への穴あけ工事を行うため、雨漏り対策の施工技術もチェックポイントです。

ステップ6:電力会社との連系手続き

工事完了後、電力会社による連系作業が行われます。ここで「売電ができる状態」になり、電気が実際に流れるかを確認します。

このステップを経て初めて、自宅で発電した電気を利用・売電できるようになります。

ステップ7:運転開始とアフターフォロー

連系が完了すれば、太陽光発電が本格稼働します。

アフターフォロー内容

  • 定期点検(2〜5年ごとが一般的)
  • 発電量モニタリング(アプリで確認可能)
  • 不具合時の無償修理(保証内容に依存)

長期的に性能を維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。

導入にかかる期間の目安

契約から運転開始までの期間はおおよそ2〜4か月です。

  • 見積もり〜契約:約2〜3週間
  • 補助金申請・電力会社申請:約1〜2か月
  • 工事〜連系:約1〜2週間

スケジュール感を把握しておくと、引っ越しやリフォームと重ならずスムーズに進められます。

太陽光導入のメリット

  • 電気代削減:年間で数万円〜十数万円の節約が可能
  • 売電収入:余った電力を売れる
  • 災害時の非常電源:蓄電池と組み合わせれば安心感アップ
  • 環境貢献:CO2削減、再エネ推進に寄与

太陽光導入のデメリット

  • 初期費用が高額(100〜200万円前後)
  • 屋根の状態によっては設置できない場合がある
  • 定期的な点検・メンテナンスが必要

ただし、補助金や売電収入を考慮すれば、多くの家庭で費用対効果は高いといえます。

まとめ

太陽光発電の導入は「見積もり→現地調査→契約→申請→工事→連系→運転開始」という流れで進みます。初めての人にとって複雑に見えますが、各ステップを理解しておけば安心して進められます。

「導入費用はいくら?」「補助金はいくら受けられる?」など具体的に知りたい方は、必ず複数の業者に見積もりを依頼し、自分の家に最適なプランを選びましょう。

太陽光発電は今後さらに普及が進むと予想され、早めの導入がメリットを大きくします。