深夜電力と蓄電池を組み合わせた節約術
電気代の高騰が続く中、「電力をどう使うか」が家計の節約に直結する時代になりました。
特に注目されているのが、電気料金が安い時間帯を有効活用する深夜電力プランと蓄電池の組み合わせです。
夜間に電気をため、昼間の高い時間に使うことで、賢く節電しながら電気代を大幅に削減できます。
この記事では、深夜電力と蓄電池を組み合わせた節約の仕組み、効果、導入のコツをわかりやすく解説します。
深夜電力とは?
深夜電力とは、電力会社が設定している「電気料金が安くなる夜間の時間帯」に提供される電力のことです。
これは、昼間に比べて電力需要が少ない時間帯に発電コストが下がるため、安く提供できる仕組みになっています。
深夜電力プランの仕組み
多くの電力会社では「時間帯別料金制」を導入しています。
代表的なプランでは、次のような区分があります。
| 時間帯 | 料金の目安(1キロワット時) | 特徴 |
|---|---|---|
| 昼間(7時〜23時) | 約30円〜40円 | 需要が多く料金が高い |
| 夜間(23時〜翌7時) | 約15円〜20円 | 需要が少なく料金が安い |
このように、夜間の電気は昼間の約半額で使えるため、深夜の時間帯に電気を「ためる」ことで節約が可能になります。
蓄電池を組み合わせるとどう節約できるのか
蓄電池を併用すると、夜間の安い電気をためておき、昼間の高い時間に使うことができます。
つまり「夜に買って、昼に使う」という仕組みです。
この方法は特に、太陽光発電と組み合わせると大きな効果を発揮します。
日中に太陽光で発電しながら、足りない分を夜間の安い電力で補うことで、光熱費全体を抑えられます。
蓄電池を使った節約の流れ
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深夜(23時〜翌7時)に電気料金が安くなる
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蓄電池に夜間の電力をためる
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昼間にその電気を使う(買電を減らす)
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電気代のピークを回避し、トータルの支出を削減
このサイクルを毎日繰り返すことで、月々の電気代を20〜40パーセント削減できる家庭もあります。
深夜電力と蓄電池の相性が良い理由
1. 夜間の電気が安く、充電コストが抑えられる
夜間料金は昼間の半分ほどのため、蓄電池にためるコストが低く済みます。
たとえば6キロワット時の蓄電池に満充電しても、電気代はおよそ100円未満です。
これを昼間に使えば、同じ電力量を約200円分節約できる計算になります。
2. 昼間の電気代が高騰しても影響を受けにくい
電気料金の値上げは主に昼間のピークタイムに集中しています。
蓄電池を利用すれば、その時間帯に電力会社から電気を買う必要が減り、料金上昇の影響を最小限にできます。
3. 停電時にも使える
深夜電力で充電した電気は、停電時にも利用可能です。
万一の災害時にも照明や冷蔵庫、通信機器などを動かせる安心があります。
4. 再生可能エネルギーとの相乗効果
太陽光発電と蓄電池を併用すれば、昼間は太陽光、夜間は深夜電力という形で電気を自給自足できます。
エネルギーの自立化にもつながり、環境にも優しい仕組みです。
実際にどれくらい節約できる?
モデルケース:4人家族、オール電化住宅
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電気代(月平均):約15,000円
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使用電力量:400キロワット時
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深夜電力プラン+蓄電池(6キロワット時)を導入
導入後の電気代試算
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夜間に6キロワット時充電(約100円)
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昼間の高い時間帯に使用(約240円相当)
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1日あたり約140円の節約
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月換算で約4,200円、年間で約50,000円の削減
さらに太陽光発電を組み合わせると、昼間の買電をほぼゼロにでき、年間10万円以上の節約も可能です。
深夜電力プランの主な種類
| プラン名 | 特徴 |
|---|---|
| オール電化向けプラン | 昼夜で料金が大きく異なり、深夜の割引率が高い |
| 生活リズム型プラン | 深夜だけでなく朝夕にも安い時間帯を設定 |
| スマートタイムプラン | スマートメーター連携で1時間ごとの料金が変動 |
蓄電池を利用する場合は、夜間割引率が高いプランを選ぶのがおすすめです。
「夜間時間帯の単価が15円以下」のプランを選ぶと効果が最大化します。
節約効果を高めるためのポイント
1. 充放電のスケジュールを最適化する
蓄電池は自動制御が可能ですが、時間帯や電気使用量に合わせて設定を最適化することで節約効果が高まります。
最近のモデルはAIが天気や発電量を予測し、充電タイミングを自動で調整します。
2. 使用量の多い時間帯に合わせて電力を使う
昼間のピーク時間(10時〜17時)は電気料金が最も高くなるため、この時間帯を蓄電池の放電時間に設定するのが効果的です。
3. 家電を夜間に稼働させる
洗濯機や食洗機、乾燥機など電力消費の多い家電を夜間に使用することで、さらなる節約が期待できます。
4. 太陽光発電との併用で自給自足を目指す
太陽光で発電した電気を昼間に使い、夜間は安価な深夜電力で蓄電。
この組み合わせにより、買電量を最小限に抑え、電気代ゼロに近づけることも可能です。
注意すべきデメリット
1. 蓄電池の導入コストが高い
一般的に蓄電池の導入費用は100万円から200万円程度かかります。
ただし、補助金を活用すれば実質負担を30〜50万円程度に抑えることも可能です。
2. 蓄電池の寿命
蓄電池の寿命は10年から15年ほどで、放電サイクルが増えると劣化が進みます。
メーカー保証やメンテナンス契約を確認しておくと安心です。
3. 夜間に充電するための設定ミス
夜間以外の時間帯に充電してしまうと、電気代がかえって高くなる場合があります。
タイマー設定やAI制御を正しく利用することが重要です。
導入時に使える補助金制度
2025年現在、国と自治体の両方で蓄電池や再エネ設備に対する補助金が充実しています。
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国の補助制度:蓄電池導入で最大30万円前後
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地方自治体の補助金:東京都・大阪府・愛知県などで5万円〜20万円前後
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同時申請:太陽光発電と蓄電池を同時導入すると補助額が上乗せされるケースもあり
最新情報は各自治体や環境省の公式サイトで確認し、申請期間を逃さないようにしましょう。
まとめ
深夜電力と蓄電池を組み合わせることで、電気代を賢く抑え、エネルギーを効率的に使うことができます。
ポイントは次の通りです。
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夜間の安い電気をためて昼間に使うことで電気代を節約
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太陽光発電と併用すれば、自家消費率をさらに高められる
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停電時にも使えるため、防災面でも安心
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補助金制度を活用すれば初期費用の負担を軽減できる
電気代の節約だけでなく、環境にも優しい暮らし方として、深夜電力と蓄電池の組み合わせは今後ますます注目されるでしょう。
家計と地球の両方にやさしいエネルギー活用法として、ぜひ検討してみてください。